開いた対面キッチンで計画する
今の住まいはキッチンの配置によってプランの方向性が決まるといってもいいほど重要です。ではそんなキッチンのポイントって何でしょう?
人によって使い方も必要なスペースも変わるのでどう計画するかは打合せによりますが、基本的となる要素としては「冷蔵庫やレンジなどの電化製品の場所」「ごみ箱の数」「食品庫」「食器収納」の4つです(もちろん、人によってはもっと違う要素も出てきます)。
これらの内容によってキッチン計画のだいたいの方向性が見えてきますが、一番重要となるのが「キッチン自体の形状と配置」です。対面キッチンとか、アイランド型だとか、2列型、L型などと言えばわかりやすいでしょうか。
これをどう計画するかによって最終的なキッチンの使いやすさが決まりますし、それぞれキッチンに必要なスペースが違うので、プラン全体に及ぼす影響も大きくなります。
物件の大きさや形状によっても計画の仕方にもいろいろな方法がありますし、使う方の好みもあるので何が正解かは一概には言えません。でもマンションリノベーションで使いやすいキッチンってどんな形状なんでしょうか?
ここでは中古マンションで一般的な南北に長い形状の場合を事例に、使いやすいキッチンプランについて考えてみます。
まず比較的多くの方が対面キッチンを希望していると思います。それは新築マンションのプランを見ても明らかで、対面キッチンプランが多いんですね。でも、意外と対面キッチンって使いにくいです。
下は分譲マンションの一般的な対面キッチンの例です。こういう場合、通常、冷蔵庫、電化製品、食器棚を設置してスペースがだいたい埋まりますから、ゴミ箱はどこにおこう?食品ストックはどこに収納しよう?・・・と非常に困ってしまいます。
基本的にキッチン周りのスペースが小さいから仕方がないのですが、これが対面キッチンの限界でもあるわけです。またキッチン背面の壁で北側を分断してしまう形になってしまうので水回りとのつながりもあまりよくありません。
これほど使いにくいにもかかわらず対面キッチンとなっているのは「リビングで過ごす子供の様子を見たい」という要望があるからだと思います。では対面キッチンでないとリビングの様子は見えないのでしょうか?
そこで提案したいのが、このような「閉じた対面キッチン」ではなくて「開いた対面キッチン」です。開いた対面キッチンは背面に余裕があり、動線が行き止まりにならないキッチンです。下がその参考例です(違う角度からキッチンを見ています)。
なおこの写真は「暮らしやすいリノベーションプランは個室を小さくして収納を無くすことから考える」の中にあるリノベーション後のプランを参照してください。
この開いた対面キッチンのポイントはキッチン配置をマンションの長手方向と同じ向きに設置することです。キッチンは左右どちらからでもアプローチができるようになりますし、リビングへの視線も抜けます。背面の壁が利用できるので収納量、家電品の設置場所、ごみ箱スペースもしっかりと確保できます。
キッチン配置だけでこうなるわけではなく、動線や収納のことも考えて細かい工夫が必要です。単に対面させるだけの閉じたキッチンとは比較にならない空間になります。こういう考え方がプランの根底にあると、キッチン形状が変わっても、要望に応じて柔軟に対応することが十分可能となりますね。
こういう計画にしておけば、あとは予算に応じて食洗器を追加したり、要望を追加していけばいいと思います。
そしてできれば、キッチンはメーカー製品のものを設置するよりは造作キッチンをおすすめしたいです。自分の使い方に合わせて収納方法を計画できる良さがあるのがいいところ。
またリビングに近いところに既製品のキッチンが設置されているとちょっとだけ雰囲気に違和感を感じるので、それを造作することで家具感がでるので馴染みがいい感じがするんですね。まあ、これは感覚的な話ですけど。
キッチンに関しては人によって微妙な違いが出てきますが、単純なキッチンの使い方だけではなく、キッチンと他の空間とのつながり方も大事にしておきたいところですね。