電球色と間接照明で心地いい空間に

照明計画は住まいの雰囲気を左右するとても重要なポイントになります。直接照らすか、壁を照らすか等の照明方法の違いや、ダウンライトやペンダントといった照明器具自体の違いもあったりして、これがなかなか難しい・・・。

しかも明るさの感覚って個人差もあるので、ある人には明るい照明が違う人には暗いこともあります。明るい方がクレームにはならないし、照明工事も増えるから一般的にはたくさん照明をつける方向で提案することが多いのではないかと思います。

でも、私たちの場合、まず初めはできるだけ照明の数を少なくしてご提案します。そして蛍光灯のような白っぽい色の明かり(昼白色とか蛍光色といいます)ではなくて電球のようなオレンジ色の明かり(電球色っていいます)のものをおすすめします。

理由は単純で、自分たちがそういう雰囲気をいいなぁ、と感じてしまうから。もちろん、人によっては電球色は暗く感じるから蛍光色がいいという方もいます。その場合はもちろん、住む方の感覚を優先しますのでご安心くださいね。

参考までに電球色と蛍光色の違いがわかる弊社の打合せスペースの写真をご覧ください。ここの照明はつまみを調整することで明るさと「色」が変化する仕様です。打合せの際には照明の色の違いを確認してもらえるのでなかなか便利な照明です。

最初の白っぽいのが蛍光灯タイプで、事務所の照明ってまあ、ほとんどこんな感じです。で、次のオレンジっぽいのが電球色と言われる照明の雰囲気。ずいぶんと変わります。

電球色の方は写真だとちょっと暗く感じるんですけど、実際にはもう少し明るい感じ。慣れてくると電球色で十分明るく感じます。反対に蛍光灯的な明るさが妙に不自然で、なんとなく冷たさを感じてきます。明るいのに妙に孤独感を助長するというのでしょうか。人間の感覚って不思議です。

照明はただ明るければいい、と単純に考えるのではなくて、心地よく過ごせる「暗さ」はどういう明るさなのか?を考えてみると、豊かな空間になると思います。

最後にわかりにくいところもありますが、電球色の雰囲気が感じられる事例を(なお、写真だと暗めに感じるので、この写真だけで明るさ、暗さを判断しないでくださいね)。

まずは間接照明+スポット+タタミスペースのダウンライトのリビング写真。

写真だと光の部分が強く表現されてしまっていて、照明近くはもう少し暗めなのですが、とても感じがいい雰囲気です。夜の写真撮影の時は居心地があんまりにもいいので、ぼーっと雰囲気を体感することもしばしば。

次の写真は間接照明+レール照明+ダイニングのペンダント+キッチンシンク上の照明が点灯している様子。

キッチンの照明は点灯していません。こちらは壁の長さが大きかったので間接照明の反射光がかなり効いています。個人的には間接だけでも過ごせる雰囲気でした。

 

表面がつるんとして一様な素材であれば電球色でなくてもいいかもしれませんが、たぶん、塗り壁とか、杉の木の床といった自然の素材の「表情」は、電球色の方がその魅力を出してくれるんだと思います。

そういう雰囲気の良い空間にしたいので、電球色で提案するのですが、照明の数が多すぎるとちょっと落ち着かない。だからといってバーのような薄暗さにしてしまうのもやりすぎです。できるだけ強すぎない光で、適度な明るさというか「暗さ」が心地いい空間になるんですね。