マンションの耐用年数の前にそのリノベーションは長持ちするのか?後編
前回の続きです(「マンションの耐用年数の前にそのリノベーションは長持ちするのか?前編」)
シート張り建材の耐久性には難があるよね、というお話でした。ではそういう建材を使ってはいけないのか?というと単純にダメ、ということではないです。
例えば床についても非常に表面が硬い建材というのもあると思いますから丈夫な床材を選べばいいわけです。また窓枠についても結露しないようにすれば、さすがにシートがはがれるほどの劣化も生じにくくなるのでそういう工事をすればいいわけです。
どんな素材を使ったとしても劣化しないわけではないので、使う素材の特性を理解したうえで、早期に劣化することがない配慮をしているかどうかが本質です。
まあ、個人的な意見ですが、硬くてツルツルした床材には正直なんの魅力も感じないので、うちではそういう建材を使いません。もちろん、窓枠部分含め、建具なども全てシート張り建材は使いません(建材メーカーさんすみません)。
もっと現実的な面ではマンションリノベーションのプランニングで、建具をメーカーの既製品にすると制約が多すぎていいプランができない、というデメリットもあるんですね。
まあ、これは私のプラン作成能力がないだけかもしれませんが、特注対応があるとはいえ、幅と高さに加えて壁厚を考えて、きれいに見えるように計画するためには無理があるんです。
それに引き戸が主体なので納まりが難しいんですね。ドアだと比較的簡単なんですが、開放性という面で難ありですし・・・。
ちょっと話が反れました!いろいろ言ってますが、そんなに理屈っぽく考えないとしても、「木」を使った方が耐久性でも意匠面でも感じる雰囲気も全てがうまくいくんです。
傷がついても、経年と共に色が少し焼けて濃くなっても、そういう変化が味わい深い、好ましいと思える建材は残念ながら工業製品ではほぼないです。
それに見た目の劣化が好ましいかどうか?という視点での耐久性がないと20年後、30年後には表面をきれいにするリフォームをしたくなるんですね。
その証拠に、マンションリノベーションをしていると他の部屋でも結構工事をしていて、設備の交換やクロスの貼り替えという内容なんですが、築二十数年程度で模様替えしてるんですよね。
これが工業製品を使った住まいの耐久性の限界なのではないか?と思います。
木や自然素材を伝っているからと言ってメンテナンスフリーというわけではないですが、自然のものって傷みに対してのフトコロが広い(深い?)気がします。
もちろん、大事に使う、きれいに使うという姿勢がなければどんな素材を使っても傷んでボロボロになります。
なので大事に使うことが大前提ですが、それでも傷がつき、色が変わります。そうした傷みが生じても大事に使いたくなるのが自然素材の良さとも言えます。
物理的な耐久性に加えて心理的にそのように思わせる精神的耐久性とでもいう性質があることって大事ではないかなぁ・・・。
よく言うんですが、「単純な見た目だけ」を重視するリノベーションって必ず暮らし始めてから暮らしにくいな、と感じると思うんです。でもこれって、自然素材を使うというのも、自然素材という見た目を重視しているとも言えるんですね。
なので素材が持つ魅力、心地よさだけに頼ったリノベーションでは同じような暮らしにくさが出てくるはず。そういう意味では素材とプランが互いの良さを引き立たせることが大事だな、と改めて思います。
心地よく過ごしたいからこそ、住まいに使う素材の選定って大事ですね!。