マンションリノベーションの室内干し事例あれこれ
設計の仲田です。マンションリノベーションではよく室内干しを計画します。共働きの場合は特に希望する方が多いですね。
共働きでなくても、花粉症だと、外に干したくても干しにくい、という場合もあるでしょうしね。私も花粉症なのでよくわかります・・・(;^_^A
写真のように天井に取り付けた物干しは便利ではあるんですが、物干し竿がリビングにあるのももう少しなんとかしたいかな・・・。
あと、マンションは戸建てと違ってスペースに限りがある。
そもそものスペースがあまりとれなさそうなので、そこをどうするか?
物件の条件と大きさ、ご要望によって、やり方は様々ですが、これまでのリノベーションから参考となる事例をいくつか紹介します。
リビングのサッシ上部に掛け材をつける
一番よくあるのがリビングのサッシの上に掛け材を付けるパターン。
間取りに関係なく計画ができるので、基本的には掛け材をつけるといいですね。
室内干しだけの利用ではなくて、毎日は洗わないけどよく使うからかけておきたい、なんて場合にも使える。
棚状に大きくつけて、その下にバー材をとりつける、なんて方法もいいかもしれませんね。棚の奥行を広めにして飾り棚的にも使えるし。
日が差し込むわけなので自然と乾きやすい環境になるという点でもいいですね。
ただ欠点はリビングなどからは丸見え、ということ・・・(;^_^A
全体の大きさとかご要望のバランスによって他にそうしたスペースが計画できないことも普通にありますからね。
でも個人的にはそれはある程度は仕方ないかな、と思いますけどね。
さて、リビングに室内干しを計画する際に気になるのがステンレス製の物干し竿。
丈夫で長持ちするし使いやすいのでダメではないんです。でも、それが常にリビングにあるのはちょっとだけ残念だなぁ、とも思うわけで・・・・・。
そこで物干しを木で製作してみました(下の写真)。バー状の木だと不思議と天井に取り付けてあっても気になりません。
よくよく見たら、天井に木がついているので唐突感があるはずなんですが、邪魔してない感じ。まぁ、これは個人の感覚だから人によるかもですけどね・・・(;^_^A
天井につけていると手が届かないのでは?と思うかもですが、この場合、床に小上がりユニットタタミがあるので、天井までは十分手が届くんです。
またこの住まいでは天井から下がっている梁部分の横にも木の掛け材を設けていてそこも使えます。結構スペースが必要ですからね。
はい、もちろん、この場合もリビングに洗濯物がずらりと並ぶわけですから、見た目はどうしようもないです(;^_^A
広い洗面脱衣スペースで室内干しを兼用する
下のプランはかなり広めに洗面脱衣スペースを計画した事例です。
元々は個室でしたが、用途と暮らしの優先度を考えて大きく配置転換しました。
洗面脱衣スペースはLDKよりも少し奥まっており、また大きな梁もあるのでLDで過ごしていても洗濯物があまり気にならない。なので物干し竿も普通のステンレスタイプを使います。
もしも気になるようなら目隠しスクリーンを付けるなどで対応もできますしね。この辺は個人の感覚で調整すればいい部分です。
広めの角部屋は室内干しがしやすい
広めの角部屋物件はご要望にもよりますが、室内干しスペースを取りやすくなります。
写真はキッチン背面のカウンター部分の様子。壁の高さが低くなってます。よく見ると梁の部分に先ほどと同じような木の掛け材があるのがわかります。
掛け材部分はこんな感じです。右側の窓が東。明るく風通しもいいように計画してます。
ここなら洗濯物もよく乾きますね。
LDから少し奥まっているので、洗濯物が干してあってもそんなに気にならないです。写真はリビングダイニング側から見た様子。
キッチン背面カウンター収納の奥が室内干しスペースですが、視線を向けてもほとんど気にならない感じがわかると思います。
あと同じ角物件ではこんな事例も。こちらは現在建築中。2021年2月末に完成予定の物件。
書斎側が北で、出窓が2つある側が西です。各部屋の西側をつなげて細長いスペースになってます。
西には大きなビルがあるので西日は眩しくはないし(夏でも暑くなりにくい)、個室でもあり、動線も確保しつつ、南北に風が抜けるようにもなっているちょっと面白いゾーン。
室内干しのスペースとして非常に有効に使えます。
余談ですが、北側の書斎が寒くならないような工夫もしてたりしてます。
書斎にエアコンは設置できないんですけど、うまい工夫がしてあるのでした!
戸建てのような縁側をつくる
マンションには縁側はありませんが、リノベーションで計画することは可能です。
写真の右が南側で、こちらはペットを飼っていることもあり、いろいろと世話をするためのスペースとして基本計画をしています。
なので室内干しのためが目的ではなかったんですが、置き型の物干し台などを使ってもいいですし、これまでの事例のように掛け材を設置するなどすれば室内干しスペースとして利用することも可能ですね。
こういうスペースって人によってはかなり重宝すると思います。
南が必ずリビング空間として利用する、ということではなくてもいいわけですし。
とはいえ奇をてらえばいいわけではなく、基本的な採光、通風の効果をちゃんと得られるよう配慮は必要ですね。
下の事例は木造住宅的な縁側のある事例ですね。梁の出っ張りに合わせて掛け材があるので、室内干し兼用のスペースです。
なお右側は木の格子戸。これは室内干しの目隠しにはなりませんが、格子戸が手前にあると、その奥へと視線が抜けにくい。
また格子なので南の光と風は阻害しないし、冬でも暖かい日射が得られます。
事例写真を見ればわかりますが、格子戸があると、まずその木質感が目に入ってくると思います。
また明るい陽射しが入る感じも。これはエアコンの冷暖房も邪魔しない、という効果もありますね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
ここに挙げた事例以外にももう少し違うタイプもありますが、ポイントは2つ。
一つ目はその人の暮らし方ですね。人によっては必要ない、ということもあるのでなんでもかんでも設ければいい、ということでもないです。
ただ基本的にはいろいろと便利だろうなぁ、と思いますから服をかけられる場所はあってもいいでしょうね。
最初に紹介した南の窓の上の掛け材はほぼ間取りに関係なく計画できますからね。
もう一つのポイントはやはり物件の大きさと条件。
面積が広くなくても、比較的広い洗面脱衣+室内干しというスペースは計画できますが、やはり広めのスペースがあった方がより使いやすくなりますからね。
それによって、室内干しの手法もいろいろと変わるという訳です。
衣類を干す、という家事は、暮らしの中でもかなり大きなボリュームになります。
こうすればカンペキ、ということではないんですが、室内干しスペースの計画を色々と工夫することで、暮らしやすい住まいになると思います。