柱を撤去するリフォームの注意点
私たちの会社はマンションのリノベーションと小さな戸建て住宅という2本の柱をご提案している会社ですが、木造住宅のリフォーム、リノベーション工事もしています。そんなわけで、本日はちょっと趣向をかえて、その戸建て住宅のリフォーム、リノベーションについて。
戸建てリフォーム工事では壁紙を張り替えるとか、トイレを交換するというような比較的簡易な工事は構造とは何も関係がないので注意すべきことは比較的少なくて済みます。これが柱を撤去するとか壁を撤去するというように構造に関わる大規模なリフォーム、リノベーション工事の場合は慎重に検討する必要があります。
柱を撤去するリフォームというのは、既存の間取りでは対応できないために、間取りの変更が必要となる場合に発生するわけです。柱を撤去するというと耐震性能が弱くなってしまうんじゃないか?ということが心配になるかと思います。ちょっと乱暴な言い方ですが、基本的には柱を撤去しても耐震性能は低下しません。木造住宅の耐震性能は耐力壁の数量とその設置位置によって決まってくるので、スジカイなどの耐力壁を撤去する、移動する、ということをしない限りは、数値上は耐震性能は変化しないのです。
とはいえ、柱がなくなることにより、力の流れや伝わり方がいろいろと変わります。耐力壁の数量とか位置は変わらないとしても、そういう力の流れ方に変な偏りが生じれば、地震の時にプラスに働くことはありませんから全体のバランスを見ながら撤去が可能かどうかを判断する必要はあります。
柱を撤去する際には大きく二つの検討が必要です。一つは柱がなくなってもそれを支えている梁の大きさが適切かどうかです。余力のある構造の場合、柱を撤去しても大丈夫な場合もありますが、通常は梁を補強する必要が出てきます。下の写真のように、濃い木の部分(古い梁)の下にある白っぽい木が補強です。
このような補強がないと、古い梁がたわんで内装にも影響を及ぼしたりします。内装だけならまだましで、屋根を支える構造がたわんでしまったりしたら雨漏りしてしまうかもしれません。撤去する柱がどのように建物の荷重を支えているのかを理解して適切に補強する必要があります。
もう一つの検討は上記のように梁を補強すると他の柱に荷重がかかるので、その荷重がちゃんと下部構造に伝わるようになっているか?の確認です。1階の場合はあまり問題にはなりませんが、2階の場合は梁補強によって支える荷重がそれまでとは違う形で伝わります。1階の梁を補強することができればまだよいのですが、1階の梁を補強できない場合は、全体の構造図を確認して過剰な荷重が梁に加わっていないかを検討する必要があります。これができていないと、先ほどと同じように梁がたわんでしまい様々な不具合を生じさせかねません。
・・・・と、説明をしましたが、これ、非常にわかりにくいですね。知っておいてほしいのは柱の撤去をする場合に、どのような根拠で、どのような工事を行うのかが明確に説明できる会社でないとダメですよ、ということです。下は実際に柱の撤去と梁補強の検討のために作成した立体的な構造図です。比較的わかりやすくなるのですが、ご要望を高いレベルで満足できるプランを考えながら、撤去すべき柱をどれにして、無理な補強とならないよう計画するのはとっても難しいのです。でもこういう難しい計画を考えるのは楽しい部分でもあったりしますね。
このような工事計画は実は新築住宅だけをつくっている会社や簡易なリフォームだけを行う会社で対応するのはちょっと難しい部分があって、リフォーム独特の工事上の配慮や経験がないとなかなかうまく計画できなかったりします。私たちの場合はかなりいろいろな事例を経験してきていますから、たいていのことにはお応えできますのでお気軽にご相談くださいね。最後は宣伝してしまった!