高所平気症とその対策
ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが「高所平気症」という言葉があります。幼少期から高層マンションに住んでいると、そのマンションが「高い」という感覚がなくて、バルコニーの壁をよじ登る、手摺壁に立つなど、平気で恐ろしい行動をしてしまうのです。
ある教授のお話によると、子供は自分の目線の高さを基準に地面との距離を把握し、「高いかどうか」を判断するが、地面が見えないので高い場所が怖いと思う感覚が育ちにくいのだそうです。
確かに、幼少期からマンションで暮らしていれば、住まいが高い、という感覚は育ちにくいかもしれませんね。
子供って、大人が思っている以上に身体能力が高く、またかなりこわいこともへっちゃらなのは、自分の子供の頃を振り返れば実感としてよくわかります(設計の仲田も子供の時はよくけがをしました・・・)。
マンションリノベーションをお勧めしている私たちとしては、こういう情報はお伝えしないのではなくて、危険なことはできるだけ広くお伝えする方が良いと思ってます。知っていれば子供が危険なことをしないように、対策を考えられますし、気を付けることができるからです。
一般的には南側にバルコニーがあることが多いと思います。そこにちょっとした箱を置いてたりすることもあるかもしれません。かなり広めだと椅子や机をおいて過ごす、なんてことができる場合もあります。
こういう何らかの足場となりえるモノがある場合は非常に怖いですよね。小さな子供は実はよじ登る力が強くて、そういうものを足掛かりにして簡単に手摺壁を乗り越えてしまうことができてしまいます(ちょっと検索すればそういう動画をみることができると思います)。
なのでまずはモノを置かない、ということが基本だと思います。そのうえで、手すりの外は高くて、よじ登ることはダメだよ、という基本的なことを何度も言い聞かせることも大事だと思います。
1回言って聞く子供ってたぶんあまりいないでしょうから・・・。また一人でバルコニーには出ない、ということを言っておくのもいいでしょう。
モノはないから安心、と思い込んではいけません。一つ置いてある「モノ」があるはずです。それはエアコンの室外機です。エアコンの室外機なら手摺壁まで距離があるから安心だ、と思うかもしれませんが、距離があっても飛び移る、という遊びをするかもしれません。
何せ「高所平気症」ですから危ないという発想がありません。彼らは全力で飛び移るかも。そしてたまたま身体能力が高いと飛び移れてしまうかもしれません。
もう一つ、個室に中くらいの窓があって、窓際にベッドは設置しないでくださいね!簡単に窓から身を乗り出すことができてしまいますから非常に危険です。
これは下手したら大人でも危ない。屋上なんかだとルーフテラス的なスペースとなってる場合もあるので、多少は安心ですが、それでも要注意。
かえってルーフテラスだとより広いスペースなので、恐怖心もよりなく遊べてしまいます。柵があってもとにかく遊ばせない、という姿勢を持った方がいいでしょう。
小さな子がいないからウチは大丈夫!という方は、もし、お孫さんが家に来るようなことがある、もしくは近い将来には生じるかも、という視点で考えておいた方が良いでしょうね。
その他いろんな状況があるかもしれません。考え方としては、かなりの身体能力がある、という前提で、どうやったら外のバルコニーの向こうへ行けるか?工夫してよじ登ろう、という視点をもってみることです。そういう視点で見ると、もしかしたら危険な状態になっているかもしれません。
ちなみにこれはEVホールから通路の間も同様の視点で見ておくといいと思います。
あとは小学校の低学年くらいになるとお友達が遊びに来ることもあるかもしれませんから、そういう場合はより注意が必要かもしれませんね。友達が来ると楽しくてはしゃぎたくなりますから。
高所からの落下事故は怖いですが、ここで挙げたように、ちゃんと安全対策を考えて、日ごろから何回も子供に言い聞かせる、高い所は怖いところだという感覚を公園などの遊具で身につけさせる等、いろいろと配慮をしておけばめったに生じるような事故ではないはずです。
高所平気症のことを知らないで、この記事ではじめて見た方、もしくはそういう配慮を考えていなかった方は、今すぐにでもお子さんとしっかり「高いは怖い」ことを確認してくださいね!
ただあまりにバルコニーに出ると危ないよ!ということを強調しすぎると今度はバルコニーに出られなくなってしまうかもしれません。
変な恐怖心を与えすぎずないようにしたいところです。高いのは怖いだけではなくて、景色の良さとか風が気持ちいいとか、イイコトもたくさんです。イイコトを堪能するために怖いことを知っていれば安心だとおもうのです。