マンションリノベーションのプランレベルは配管工事のことがわかっているかどうかで決まる!?

N.style建築工房のマンションリノベーションは基本的にはマンション内をすべて解体し、コンクリートの箱状態にしてから住まいをつくり直します。なのでリノベーションというよりもマンションの新築といってもいいくらいですね。

すべてを解体とはいえ、タテに通る配管とか、サッシなどはそのまま使います。これらは共有部分になっているので、勝手に壊したり、交換したりすることはできないからなんです。タテ配管はともかく、サッシの変更ができないのは残念なところです・・・・。

タテ管以外は基本的には一度撤去します。

ただタテの配管はそのままですが、ヨコを走っている給水、給湯、排水の管はできる限り新しいものと交換します。やはり古い配管をそのまま使うと漏水が怖いんですよねぇ・・・。

解体完了すると広いコンクリートの箱状態。壁には断熱材がついてますが、性能はあまり高くないです・・・

解体が完了すると写真のように、がら~んとなって配管がむき出しになります。この状態だとどういうルートで配管が室内に取り込まれているのか、どの位置にあるのかが簡単にわかります。なのでこの状態からプランを作成するなら比較的簡単です。現況をしっかりと計測すればいいだけですから。

ただ通常はこのように解体された状態ではなくて、解体される前の状態でリノベーションのプランを作成することになります。これ、なかなか難易度が高いんです。現況の寸法をただ採寸するだけではわからないことも多く、壊さないと見えてこない部分もあるので。

まぁ、解体しないとプラン提案できませんではプロ失格。詳細はわからないとしても、おおよその配管ルートとか、タテ配管の位置などはだいたいわかります。また下地の厚みがどれくらいで、どのように施工されているのかもだいたいわかります。

その他換気ダクトのルートなど見えないものは想定し、梁の高さ(低さといったほうがいいのか?)など見えるものでプランに影響するものはすべて計測します。そしてまずは現況図面を作成します。ここまでがリノベーションプラン作成のいわば下準備というものですね。

そこからご要望をふまえてプランをつくるわけですが、その際、配管の位置をどこまでならずらせるのか、高さに影響はないのか、といったことも考えながら計画を練り上げていきます。

なので配管のルートと配管高さがどうなるのかということが理解できていないとリノベーションプランがうまくできないと思いますね。

とはいえ解体してから明確になる部分もあるので、私たちのリノベーションでは解体後に再度、採寸します。

その上で事前に作成したプランを照合し、ズレを修正していきます。これまでに大きく変更したことはないですし、想定できることは事前に説明をしているので大きなトラブルもありません。なかなかのスキルがあるんですね、私たち(笑)。

また解体後にはコンクリートが破損していないか、施工の不良がないか、外壁からの漏水跡などはないか、ということのチェックもします。この時にはオーナーさんにも立ち会ってもらいます。やはり見てもらったほうが安心すると思いますし。

解体前の計画との微妙なズレなどはその立ち合いの時に改めて説明をし、その後の工程などについてもご説明をしています。

解体後のチェックが完了したら図面の微修正と、配管の明確な位置決めのための図面を作成します。写真はその計画途中の図です。こんな感じで配管のルートとか高さを考慮した指示内容も考えます。

配管図は計画の細部を踏まえてルートや高さを考える必要があります。リノベーションとうたっている工事でも、既存の配管位置を部分的に変更して終わらせる場合も多かったりします・・・。

今回、なんでこんな説明をしているのかというと、この配管工事のことを理解していれば、水回り位置が変更できる「範囲」が広がるからです。つまり、より暮らしやすい住まいを検討することができるということです。

マンションリノベーションのプランニングのレベルが大きく変わってくるポイントといえますね。

リノベーションって写真映えするアピールが多いのですが、こういうプランの本質的な部分に関係することの情報発信はずいぶん少ない気がします。見た目はもちろん大事なんですけれどねぇ・・・。

ちなみに、いろいろな状況で配管位置がずらせない物件もあったりします。その場合、どの会社がプランをつくっても同じかというと、実はそうではなくて、やはり違いは出てくると思います。

そのポイントは「スケール感」になるんですが、これについてはまたの機会に。