マンションリノベーションの設計

私たちのマンションリノベーションは、木や自然素材を活かした居心地のいい住まいなんですが、木や自然素材を使うだけでは暮らしやすくはなりません。やはり基本の骨格となるプランが大切になります。

ただマンションの大きさって比較的小さめなので、普通の感覚でプランをつくるとあまり暮らしやすい住まいにはならないんです。マンションの特性を踏まえた設計方法というものが必要です。

下図はあるオーナーさんと一緒に見た物件を検討する際に作成したラフプラン。簡単にできているように見えますが、動線や収納の考え方、各スペースのサイズなど全体のバランスを調整しつつ、梁の位置を考慮し、ちゃんと暮らしが成り立つようにまとめるのってなかなか難しいんです。

この図を書くだけなら10分でできますが、こうなるまでにはもっと時間がかかってます。

快適なマンションリノベーションプランの方向性

ラフな状態ですが、こんな感じのリノベーションプランってあんまり見ないんですよねぇ・・・。

マンションの欠点を考えると多少の違いはあれど、方向性としてはこういう雰囲気のプラン例がもっとあってもいいと思うんですけどね。なお実際に完成したプランは収納の細かな計画とか一部の配置等はもっと変わってます。

さて、こういう間取り図を掲載してマネされてもいいの?なんて質問を受けたことがあるんですが、ぜんぜん問題ありません。というか、間取りのアイデアをまねていい住まいができることで誰が損をするのだろう?リノベーションする人が快適に暮らせるなら、どんどん真似たらいいのではないか、と思います。

ただ、こういうプランのカタチだけを真似てもいい住まいにはならないんです(苦笑)。

物件の状況、住まう人の要望といった様々な諸条件が組み合わさっているわけで、そこに込められている意図を理解できていないとどこかに支障がでてきます。

建具が納まらないとか、微妙に使いにくいとか、物が納まらないとか・・・。そういう部分がよくわかってないままにプランだけ作っても細かい部分のクオリティが悪くなるでしょうね。

その他には、「梁の高さとその梁が計画プランにどんな影響を与えるか?」「換気扇のダクトスペースと配管経路を把握しているか?」「排水経路のあたりをつけて水回りをうまく配置しているか?」といったことはプランニングではポイントになってきます。

そういう中でも特に難しいのが、たて配管(PSと表記されている)位置を踏まえてどう計画するか?なんですが、言葉で説明できれば苦労しないんですけどね(苦笑)・・・。

動かすことはできないので、スペースのつながりを検討しつつ、壁位置を微妙にずらしたり、動線を調整したりといろいろトライしては消し、時にはうまくいかなくて初めから方向性をやり直したり、ということも出てきます。

この辺りの作業はもう、設計する人間の力量次第。たまに泣きそうになるくらいまとまらない時がありますが、そういう時はそれ以上は考えずしばらく「放置」します。

いろいろ考えるだけ考えて、それでもうまくいかない時は発想を変えたり、新たなアイデアが必要になるので、考え続けたとしてもいいプランにはならないので・・・。

でもそうやって苦労した後に出来上がったプランって不思議なことに、もうそれ以上他の方法はないな、というくらい完成度が高かったりします。というかそうなるまで考えて提案してるわけでして、苦しいけれど楽しかったりします。

そういう意味では設計する人はたいていはMではないか?と思いますね(笑)。