家の価格には理由があるなぁ・・・というお話です
今日はちょっとマンションリノベーションから脱線したお話を。仕事柄、新聞折り込みで家に関係する広告があればさっと目を通します。
今の家って安いんですねぇ・・・。30坪位の普通の家が1000万円程度なんです(買おうかな・・・)。
大きさが同じでも、注文住宅でこだわりの家を建てた場合、高いものだと3000万円以上というようなこともあるわけで、その差は3倍。どうしてこんなに価格差があるんでしょう?
ここで挙げた30坪1000万円の家は「規格住宅商品」と広告にうたってありました。つまり、何百例ものプランから敷地に納まるプランを選んで決めるだけなので「家を建てる」というより「モノを買って設置する」という感覚ですね。
プランをつくる手間もないですし、仕様を決める打合せ時間も最小限で済むわけです。おそらく材料手配、施工方法などもシステム化されていて、とにかく人が関わる業務を極限まで少なくしているから実現できると思います。
価格にはやはりそれだけの理由があるなぁ、ということです。安く家をつくるとすればこういうやり方になるんでしょうね・・・。とにかく安いというメリットはあります。
でも、価格はとても大事な要素だとは思いますが、価格への比重が強すぎる住まいっていろいろな部分で「安いからしょうがない」というイイワケが成り立ってしまうと思うんです。そういう家ってどうなんだろうか・・・。
つくづく家って一般の方が正しく評価するのって非常に難しいなぁ、と思います。知識と経験があればある程度の評価もできますが、どれくらいの性能が必要なのか、あるいは妥当なのかという評価をするのは多くの方にはできないと思うんですね。
私自身には、これまで20年以上、住まいをつくってきた経験があるわけなので、今の家には断熱性能、耐震性能はこういうレベルが必要だな、プランはこういう配慮をすることが大事だな、こういう素材を使った方が長持ちするな、という評価軸があります。
デザイン的な部分は好みもあるので別として、今の時代背景、社会状況を踏まえるとこれからの住宅が持つべき性能というものがあるんですね。
そういうものを満たすことは大前提で、それを限られた予算の中でどうやって満たすのかが設計するものの腕の見せ所だと思ってます。
安い家でそういう性能を満たしている住まいもなくはないんですが、その場合に設計内容も優れている住まいって正直見たことがありません。
設計って間取りをつくることだけではないんですね。住まい手の価値観や要望を踏まえつつ、限られた予算の中でよりよい提案をすることが求められます。しかもそうした理由をちゃんと理解してもらえるようなコミュニケーション能力も必要です。非常に幅が広いんです。
ちょっと話が脱線してしまいました。非常に当たり前なことなんですが、「価格には理由がある」ということなんですよねぇ。
20年以上も経験がある割には目からウロコ的なオチもない結論で申し訳ないです(汗)。
ちなみに私たちのマンションリノベーションは比較的コストがかかる内容だと思うのですが、やっぱりかけているだけの理由があるんです。コストダウンの工夫は毎回考えてはいますが、根っこの部分で私たちが大事だな、と思っていることをなくしてまで提案するのは最終的にオーナーさんにとってイイコトにつながらないと思うんですね。
悩ましい部分ですが、木のリノベーションの魅力をなくさない提案だけはしていきます!