塗り壁は性能がいいからおすすめ?
設計をしているといろんな素材と触れ合う機会が増えます。これまでにいろいろと使ってきましたが、面積が一番多くなる壁の仕上げにはやっぱり塗り壁がいいなぁ、と思います。
もう、これは理屈じゃなくて、スキキライの世界。だから塗り壁はちょっと嫌い、という方はうちに仕事を頼まない方がいいですね(笑)。
この塗り壁もいろんな種類があるんですが、よく聞くのは珪藻土の塗り壁だと思います。この珪藻土は「多孔質」なので高い調湿性能をもっている、という性能面のアピールが多いんですが、これを誤解してる人も多い。
梅雨時や夏の高温多湿な時期には湿気を吸って、適切な湿度に調節してくれる、という説明をしている人がいるんですね。
まあ、それは確かに嘘ではないんですが、でもずっと湿気を吸い続けるわけではありません。どこかで限界に達します。湿度を調整するという性能に、過剰な期待をしない方がいいと思います。
その他、こういう塗り壁系の商品に関しての「性能の良さ」をアピールする内容は
・マイナスイオンを発生する
・静電気が発生しにくいので埃がつかない
・消臭効果がある
という感じでしょうか。そういう性質があるのは事実ではあるのでしょうが、あまりに過剰な期待は持たない方がよいと思います。
例えば消臭効果があるという点では、焼き肉をやった次の日でも匂いが気にならない、という人もいますが、匂いに敏感な人だと、多少は匂いを感じるという人もいます。
塗り壁の魅力って、そういう「性能に期待する」というよりも、単純に、塗った風合いから受ける心地よさ、だと思うんです。
塗り壁の仕上がりを見て、「これが好き!」と感じるかどうか。そこを一番大事にした方がいいと思いますね。
これは床や枠などの木材にも同じことが言えます。木にも調湿性能があるのですが、そういう性能があるから選ぶというよりも、木の風合い、触れて感じる心地よさ、の方が大事だと思います。
耐震性、断熱性など性能が大事なものもありますが、住まいに使う素材については好きかどうか、心地いいかどうか、という感性を大事にしたいなぁ、と思います。
最後におまけ。
塗り壁で代表的な珪藻土ですが、それだけでは固まらないのでいろいろとその他の材料を混ぜるのですが、中には「接着剤」が混ざっている塗り壁もあります。
そういう製品は、見た目はまあ、確かに塗り壁なんですけど、なんとなくですが、違う感じがします。
実際、接着剤が混じっている塗り壁に霧吹きで水を掛けるとあまり沁み込みません。また手で触っても表面がちょっとつるつるしている感じもします。
せっかくの多孔質を接着剤がつぶしてしまって、珪藻土の本来の魅力をなくしてしまっているんです。
やっぱり自然のものって変に人の手を入れすぎない方が魅力が生きると思います。
塗り壁を使いたいときは変な混ぜ物をしていないか?くらいは気にかけておくといいと思いますね。
そして実際に見て触れて、相性を確かめてから採用するのが良いと思います!