中古一戸建てのリノベーションってどうなの?

先日、中古の一戸建てをチェックしてきました。現在は空き家で、築30年位は経っているでしょうか。リノベーションして良くなるかどうかを調べるのです。まず最初に家の中に入るとクラッとめまいが・・・。

ん?疲れてんのかなぁ・・・。家の中を歩いてみるとやっぱりおかしい・・・・

「この家、床が傾いてる!」水平器で調べてみると案の定、傾いてました。

 

水平器の気泡がずいぶんと左に寄っているのが分かります。かなりの傾き加減・・・(汗)。

「ま、まあ、床は直せばいいしね。」と、気を取り直してチェック!

・・・・・ん~窓枠もボロボロだな・・・。表面のシートがめくれてるし!

ちなみになんでこんな風にめくれるのか?おそらくですが、これは「結露」が原因です。

性能が低いサッシにできる結露水が窓枠に垂れて濡らし、日当たりがいいので乾くけど、次の日はまた結露して、の繰り返しが何年も続けば当然こうなりますね。

「ま、まあ、窓枠も取り換えれば済むことだしね・・・」と気を取り直して再びチェック!

・・・天井にシミ跡がついてる・・・・。雨漏れです・・・。

原因はこの部屋にあるバルコニー周りからの漏水と思われます。少々、建物のカタチがごちゃごちゃしていて、雨が入りやすい納まりになっているんです。

中古の一戸建ての場合、漏水を直す方法はもちろんあるんですが、古いとその原因も複合的な場合もあるので、部分的な補修だと雨漏れも止まらない場合があるんですね。

なので、根本的に外壁や屋根をめくって新しくやり直さないと、雨漏れしません!と自信をもっての保証もできません。でも外部を直すとなると費用もどんどんと増えていきます。

この家を直すことはできなくはないが、果たして直すだけの意味があるのかどうか・・・。

というのも、床が傾いている原因が、外周部の基礎を見た瞬間にわかってしまったんです。

 

上の写真はこの家の南側の基礎なんですが、横に大きなヒビが生じています。他の場所にもいくつかありました。ということは、この家自体が傾いているというわけなんですね。

床の傾きを部分的に直すことはできなくはないんですが、そんな対処療法ではこの家の問題は何も解決できません。それに基本的な断熱性能、耐震性能もかなり足りない。

結局、費用をかけて直すよりも、新しく建て直した方が間違いなく良い、という結論になりました。調査の依頼を受けた不動産会社さんにはその旨を伝えて、撤収です。

室内の傷み程度ならまだしも、構造の根幹に関わるところに問題がある場合、手を掛けた方がいいのかどうかを正しく判断してあげるのも私たちの役目ですね。

戸建のリノベーションって、実はあまりオススメしてないんです。

というのも、今回のケースのように基礎が沈下していないとしても、基本的には古い戸建ての基本性能ってかなり低いんですね。なので外壁もはがして、屋根もやり変えて、断熱材やサッシも新たにしないと快適な住まいにはまずなりません。

私達なら、ほぼ新築と同じような住まいにすることが可能です。いや、そこら辺の分譲住宅や安い新築の家よりもよっぽど高性能な住まいにするだけの自信もあります。

・・・でもその費用は、新築よりは安くなるけれど、大きくコストが下がるレベルにはならないくらいかかってしまいます。

その家にずっと住んでいて、とても思い入れがあって、これからもそこで暮らしたい、ということであれば、住む人の想いの部分でやりがいがあるんです。

が、そうではなくて、新しく中古戸建を購入してリノベーションする、という場合、部分リフォームでは快適性は著しく落ちるし、かといって快適で暮らしやすくはなるけど、費用は新築より多少安い程度、という条件でリノベーションをするというのでは、あまりメリットがないんじゃないかと思うんですね・・・。

住宅のような環境へ与える負荷が大きいものは、使えるのであればできるだけ修繕をして使うことって大事なんですけれど、やはりこれくらいの時代の住まいって、性能、品質、耐久性といった部分では残念なレベルの物件がほとんど。

だからこそ、新築住宅は基本品質、基本性能のいい住まいを建てて、ちゃんとメンテナンスをして次の世代でも有効活用ができるような住まいであるべきなんです。

中古マンションリノベーションをしている私たちですが、実は小さな一戸建ても建てているんですが、私たちが建てる場合はそういう性能、品質の面ではかなりハイスペックな住まいを提案します。

住まいにはいろんな評価があるので、数値性能がよければ、それはいい家、ということではないんですが、あまりにもひどい家と遭遇すると、あらためて基本性能を高めておくコトって大事なことだなぁ、と思いますね。

基本性能がイイコトは当然の条件であって、その上に気持ちよく暮らすための設計上の配慮が必要なんだと思います。

実は、近々ほぼ平屋の家を建てることになっていまして、マンションリノベーションとは違うので、ブログやフェイスブックなどで、ゆる~く公開していこうかな、と思ってます。

少しでも多くの人に、「ちゃんとした住まいの基本」を知ってもらい、家づくりの参考になればと思いますね。

今回はちょっと路線が違うブログ更新でした!