20年前とあまり変わっていない新築マンション

現在（2017年8月25日）、名古屋で最大規模のマンションが建築中です。総戸数は550戸を超えるのでちょっとした「町」と言ってもいいですね。いったいどんなマンションなんだろう？今の新築マンションの間取りって工夫されてるのかな？性能も良くなってる？ちょっと野次馬的な興味がわいてきます。

今時は専用のホームページで詳しく案内されていて、間取りも性能もその概要が大体わかりますからいろいろとチェックしてみました！・・・結果、やはり、というべきか、新築マンションってあんまり成長してないなぁ・・・という内容でした。断熱性能なんかなにこれ？というレベル。また間取りはだいたい一般的な南北に長い3ＬＤＫ（または4ＬＤＫ）となっているのですが、北側に子供部屋になると思われる洋室が2つあって、対面キッチンになっていて、リビング横は子供が小さいうちは広く使いつつ、将来1部屋増やせるように可動で仕切れるようになっている、という具合。

私たちは築20年程度のマンションをリノベーションすることが多いんですが、それらのマンションと比べても本質的な違いがあんまりないんですね。せいぜい窓ガラスがペアガラスになっているくらい。収納は多少、工夫をしているように見えますが、それも小手先的で・・・あまり批判的なことを言うのは好きでないんですけど、つい突っ込みたくなってしまいます（苦笑）。20年前のマンションと変わらないつくりであっても、暮らしやすく快適な住まいであるならいいんですが、実際のところこういうマンションって暮らしにくいんですよね。

どんなところが暮らしにくいのか？

まず北側の洋室にはクローゼットがついてますが、子供用にしては無駄に大きい。たぶん、親の衣類収納も兼用になります（まあそれがだめではないですけど、ちょっとね・・・）。またこういうつくりの場合は南北に分断されるため風通しがあまりよくなく、また冬なんかは北側の部屋は寒くなりやすい。

で、洋室のクローゼットが充実している割にはリビング側には小さな収納があるだけ。まあ、昔に比べるとこれだけでもずいぶん違いますが、それでも使いやすさや収納量で考えると不十分な気がします。少なくとも家具は必要になるでしょう。

なによりもキッチンの計画は判を押したように対面式。冷蔵庫、食器棚、家電類などを置く場所で背面のスペースは終了。食品庫的なスペースはないし、ごみ箱はどこに置けばいいんだろうか・・・。

その他にもありますがこの辺で。なんだか小姑さんみたいですが（苦笑）、ここで言いたいのは「実際に暮らすこと」を強くイメージして計画していないことがマンションの暮らしにくさにつながっているということなんですね。「なんとなく良さそうな感じ」にみせるつくり方になっていて、暮らし方をより具体的に配慮したつくりにはなっていない。でも細かい部分を詰めていくと実際には使いにくかったり、暮らしにくい部分が出てしまいます。

でもこれは致し方のないことかもしれません。やはり不特定多数の人に売るわけですから、いわゆる「一般的な住まい」で計画するのがマンションをつくる側としては無難ですし。ただこういう一般的な新築マンションを購入するのであれば、やはり中古マンション+フルリノベーションにした方が間違いなく暮らしが快適になるし、気持ちよく過ごせるだろうなあと思います。金額も抑えられるかと・・・。

こう思うのは実際にマンションリノベーション後の住まいを、同じマンションに暮らしている方達に見学してもらったときに、お話を聞いたから。収納が少ないのはほぼ皆さんおっしゃりますし、北側が寒くて結露するとか、使いにくいとか、まあ、それはそれはいろいろと出てきます。だからリノベーションした住まいを見ると「これは使いやすそう」とか「ここまでできるんだ」「風通しがいいね」「玄関横の収納は便利～」「うちもこれが欲しい」等と実感がこもった感想をたくさん伺うことができました（笑）。

ちなみにたんに間取りが変わればリノベーションというわけではないんです。既存の状態では実現できない暮らしやすさと快適さを実現するために、間取りを変えたり、目には見えない部分の工事内容を計画することがリノベーションの本質です。リノベーションの雑誌なんかで間取りがあまり変わっていなくて、少し見た目を変わった感じにしているような事例があったりするんですが、それが前の間取りだと実現できない暮らし方なのかと言えば疑問な事例もあったりします。

と、なんだか文句が多いですね。すみません、あまり気持ちいいもんじゃないですよね。でもつい、言いたくなってしまった・・・。

たまに開催する勉強会ではこういう内容をもう少し掘り下げて、一般的なマンションが持つ「課題点」（ちょっと言い方を変えました（笑））を明確にしたうえで、ではどうやってそういう課題点を改善すればいいのか、設計のポイントや必要なことをお伝えしてます。もし、今リノベーションを考えているなら、「マンションの課題点」についてはちゃんと理解して知っておくことはとても大事だと思いますね。どこでリノベーションをするとしても考慮すべき内容なので。

ということで、今回は文字ばかりですみません！理屈も大事ですけど、まずは本質的なリノベーションの魅力と可能性を体感するために、是非9月に開催する完成見学会にお越しくださいね！現在6～7組さまの方がご来場予定ですのでぜひどうぞ～！